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健康情報誌「消化器のひろば」No.9

健康情報誌「消化器のひろば」No.9

知っておきたい治療薬 消化器病の薬

大腸がんの薬 (化学療法等)

大腸がんの治療では、肝臓・肺などに転移があり、手術で病巣を取り切ることができない場合は抗がん剤治療が選択されます。 抗がん剤のみで大腸がんを完治させることは困難ですが、有効な抗がん剤が多数登場したことで、抗がん剤が全くなかった頃に比べ格段に治療成績が向上しています。

個別化医療図

大腸がんの抗がん剤治療は、この10年で有効な抗がん剤が多数承認されたことで、消化器がんの中で治療成績が最も向上しました。 実際、有効な抗がん剤をしっかり使うことで、抗がん剤が全くなかった頃に比べ約5倍長生きできるようになりました。 また、抗がん剤に副作用はつきものですが、副作用を軽くする薬が格段に進歩したことで、以前より楽に治療を受けられるようになり、ほとんどの患者さんが外来で抗がん剤治療を受けられています。

さらに、大腸がんの抗がん剤治療は、遺伝子検査の結果により個々の患者さんに適切な治療を選択する“個別化医療”へと移りつつあります。 抗がん剤を始める患者さんは、検査や手術で採取したがん組織を使って RAS(ラス) という遺伝子を調べた後に治療を開始します。 RAS遺伝子に異常がない患者さんには、セツキシマブ、パニツムマブのような抗EGFR(イージーエフアール)抗体薬の効果が期待され、逆に異常がある患者さんには効果が期待できないことがわかっていますので、遺伝子検査の結果で選択する薬剤を決定します。

初回に行う治療(一次治療)として5-FUまたはカペシタビンとオキサリプラチンを組み合わせた FOLFOX/XELOX (フォルフォックス/ゼロックス) 療法、 または5-FU とイリノテカンを組み合わせた FOLFIRI (フォルフィリ) 療法に、分子標的薬であるベバシズマブまたはセツキシマブ、パニツムマブを併用した治療を行います(図)。 どの治療を行うかは、遺伝子検査の結果、患者さんの全身状態、病気の状況、予想される副作用から選択されます。

一次治療で効果が得られても、その後効果が得られなくなり病気が進行してくる“耐性”が、ほとんどの患者さんで起こります。 その際には、二次治療として、基本的に一次治療で使わなかった抗がん剤を使用します。 具体的には、FOLFOX 療法で治療を開始した場合は FOLFIRI 療法を二次治療に用います。 分子標的薬も、ベバシズマブを一次治療で使用した場合二次治療でも継続することもありますが、その他ラムシルマブという別の薬に変更したり、 RAS 遺伝子に異常がない場合は抗 EGFR 抗体薬を二次治療に用いることもあります。 三次治療以降ではレゴラフェニブや TAS-102など、別の新しい抗がん剤が使われます。

一次・二次治療:FOLFOX/FOLFIRI+分子標的薬図

国立がん研究センター 東病院
消化管内科

坂東 英明

国立がん研究センター 東病院 消化管内科 坂東 英明近影

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