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健康情報誌「消化器のひろば」No.9

健康情報誌「消化器のひろば」No.9

消化器の検査

消化器の検査 腫瘍マーカー

今回は「腫瘍マーカー」という、みなさんにあまり馴染みのない検査についてご説明します。 人間ドックを受けた際に、オプションで検査を受けている方もいらっしゃると思いますが、改めて「腫瘍マーカー」について考えてみると、どのような印象をお持ちになるでしょう。 なんだか怖い感じや、知りたくないといったようなネガティブな印象をお持ちではありませんか?

辞典には「癌細胞が作る物質、または担癌生体の細胞が癌に反応して作る物質で、それを同定検出することが、癌の存在、種類、進行度などを知るうえで目印となるもの」と解説されています。 私たちが診察をしていると、「血液検査でがんを見つけられないの?」と聞かれることがあります。 “腫瘍マーカーはがんの存在の目印となる検査”ではありますが、本当にそんな夢のようなことが可能なのでしょうか。

検査の方法

図のように、主な消化器の臓器のがんにはそれぞれ腫瘍マーカーがあり、ほとんどのものは血液で簡単に調べられます。 しかし、今のところ早期のがんを100%発見できる腫瘍マーカーはありません。 残念ながら腫瘍マーカーの異常がきっかけでみつかるがんの多くは、進行した状態です。 では、なぜ腫瘍マーカーを測定するのでしょう。 もちろんがんと診断された後では、手術や抗がん剤などの治療を受けてがんの勢いが弱まれば、数値は治療前より低下するので治療効果を判定する材料となり、また、数値が再上昇すれば悪化や再発を考える材料となります。

しかし、がんと診断される前にも、臨床の現場で私たちは腫瘍マーカーを測定します。 それは決して闇雲に測定するのではなく、肝硬変症や慢性膵炎など、がんを起こしやすいことが知られている、特定の基礎疾病をお持ちの患者様について、定期的な画像検査に加え検査を行います。 そのような疾病では、画像検査でがんがみつかる以前に腫瘍マーカーが上昇し、その後の経過で早期の段階のがんが発見されることも珍しくありません。 一方、腫瘍マーカーが異常値であったため、さんざん検査を受けたががんはなかったというお騒がせなことも稀にあります。

今日のまとめです。どの腫瘍マーカーを、誰に、どのタイミングで行うかが重要であり、適切に行えば非常に有用な検査となります。 まずは専門の医師にご相談ください。 皆さんの腫瘍マーカーに対する印象が、少しでも明るいものになればと願っています。

消化器がんと代表的な腫瘍マーカー図

日本大学病院 消化器内科
外来医長

山本 敏樹

日本大学病院 消化器内科 外来医長 山本 敏樹近影

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