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健康情報誌「消化器のひろば」No.9

健康情報誌「消化器のひろば」No.9

消化器Q&A 腸管ベーチェット病とは?

消化器Q&A

このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 腸管ベーチェット病とは?

腸管ベーチェット病とは?

ベーチェット病は1937年にトルコ人皮膚科医の Behçet によって報告された、再発性口腔内アフタ、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍を4主兆候とする難治性全身性炎症性疾患です。 ベーチェット病は米国や北ヨーロッパでは少なく、日本,韓国,トルコなどに多く“シルクロード病”と呼ばれるゆえんです。 日本では厚生労働省ベーチェット病診断基準が使われており、4主兆候すべて揃ったものを完全型と呼びます。

一方、腸管ベーチェット病は神経型、血管型とならんで特殊型と呼ばれます。 腸管ベーチェット病では眼病変を合併することが少ないのが特徴です。 腸管ベーチェット病の病変は回盲部に存在する類円形の深掘れ潰瘍が特徴的な所見です。 突然の穿孔や大量出血で緊急手術になる症例もあり再手術率も高いため、腸管病変の有無はベーチェット病患者さんの予後に関与するリスク因子と考えられています。

内科的治療はベーチェット病やクローン病の治療経験をもとに行われています。 軽症例では5- アミノサリチル酸製剤やコルヒチンが用いられることが多く、重症例や再発例では副腎皮質ステロイドや免疫調節薬が使用されます。 さらに、抗 TNF-α抗体製剤であるアダリムマブとインフリキシマブが、腸管ベーチェット病に対する治療薬として世界で初めて承認されました。 臨床試験成績や多くの症例報告から抗TNF-α抗体製剤の高い有効性、特に内視鏡的潰瘍治癒率とその維持効果が明らかとなり期待されています。

腸管ベーチェット病の回盲部潰瘍図

杏林大学医学部第三内科学 教授

<回答者>

杏林大学医学部第三内科学
教授

久松 理一

杏林大学医学部第三内科学 教授 久松 理一近影

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