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健康情報誌「消化器のひろば」No.10

健康情報誌「消化器のひろば」No.10

消化器Q&A  大腸がんは薬で予防できますか?

このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 大腸がんは薬で予防できますか?

大腸がんは薬で予防できますか?

 大腸がんを予防する薬としてアスピリンが期待されています。アスピリンは痛み止めとして使われている古くからある薬です。アスピリンは1回に300mgを服用すると痛み止めになりますが、痛み止め効果が得られないごくわずかな量である100mg(低用量アスピリン)を1日に1回服用すると血小板が固まりにくくなる作用があります。心臓や脳の血管が詰まって心筋梗塞や脳梗塞になった人は、その後の再発を予防するために低用量アスピリンを服用しています。その低用量アスピリンを長期間服用している患者さんは大腸がんになりにくいことが知られるようになってきました。また、大腸がんの前がん病変である大腸腺腫も低用量アスピリンでその発生が予防できることが、いくつもの臨床試験で証明されました。

 これらの多くの研究よりアスピリンが大腸がんの発生を予防することは間違いないと考えられています。しかし、アスピリンを長期に服用すると消化管粘膜を荒らしたり、出血が止まりにくくなったりする副作用があるため、アスピリンの大腸がんを予防する効果と副作用のバランスを考えると、まだ、すべての人が大腸がん予防のためにアスピリンを飲むことはお勧めできません。

 大腸がんになりやすく、アスピリンによる大腸がん予防効果が強く、副作用の少ない人を遺伝子検査などで絞り込むための知見を得るために大規模な臨床試験が進行中です。その研究成果は数年後に出る予定ですので、その結果が出たときには、大腸がんを薬で予防することができるようになるかもしれません。

図 アスピリン(アセチルサルチル酸)の構造式

<回答者>

京都府立医科大学 大学院医学研究科
分子標的癌予防医学 特任教授

石川 秀樹

京都府立医科大学 大学院医学研究科 分子標的癌予防医学 特任教授 石川 秀樹近影

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