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健康情報誌「消化器のひろば」No.11

健康情報誌「消化器のひろば」No.11

FOCUS
国際医療支援における消化器内視鏡人材育成の取り組み

オールジャパン体制でアジア・ロシア・そしてサウジアラビアへ

 2014年11月安倍晋三首相が、アジアの医療水準の向上のため、医療保健の分野において、今後5年間で8,000人のASEANの若者の能力開発を手伝うという決意を表明されたのを受けて産学官を挙げての国際展開が進んでいます。また専門学会等も従来からの国際貢献を加速させている中で、微力ながら筆者が行ってきた消化器内視鏡と内視鏡外科におけるアジア諸国とロシアへの医療協力について紹介します。

 腹腔鏡手術(内視鏡外科)を1990年に導入し、日本初のアニマルラボを翌々年7月に佐賀県鳥栖市で開催して以来、国内でのコースに数多く関わった経験をもとに、2004年から国際展開を始めました。また、時を同じくアジア太平洋消化器内視鏡学会(APSDE)により消化器内視鏡のハンズオンコースを開始しています。当時の丹羽寬文名誉会長、ウィリアム・チャオ会長のもと、小生が教育担当となり、タイのバンコク、ベトナムのハノイ、ホーチミンを中心にトレーナー 3~5名、トレーニー 20名前後で、2015年まで年1回開催してきました。そして、アジア諸国からの強い要請によりタイ、ミャンマー、ベトナムで2016年に10回、本年は計15回を予定し、経済産業省、厚生労働省の支援も得ながら順調に開催されています。

 内視鏡外科の分野でも、2004年からアジア諸国のリーダーを構成員とする AETF(Asia Endosurgery Task Force)を立ち上げ、年3回のコースを日本、中国、韓国で開催し、すでに27回を数えています。また、2015年より MESDA(MekongEndosurgery Development Association)を設立し、年4回のコースを開催しています。これは、バンコクに経産省の支援で開設した T-TEC (Thailand-Trainingand Education Center)にタイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアから毎回各5名、計25名の若手外科医を集めトレーニングを行うコースです。2016年7月正式オープン直後に世耕弘成経済産業大臣も訪問され、小生が腹腔鏡手術を手ほどき(?)させていただき大変喜ばれました。

 熟練の技を有する医師の安定的派遣のために、2016年11月3日にアジア内視鏡人材育成大学コンソーシアムを国立6大学私立8大学からなる大学間協定により立ち上げ、オールジャパン体制でエクスパートの派遣が可能になりました。

 また直近では、厚労省よりロシアの医療支援を依頼され、安倍首相訪露の前にモスクワで内視鏡外科のトレーニングコースを開催し、これが首脳会談で触れられたと聞いています。またサウジアラビアへの医療支援も始まるとのことで、5月には経産省の官民ミッションの一員として施設訪問、サウジ政府との交渉に立ち会いました。日本が得意の内視鏡分野で優秀な日本人医師による人材育成を通して高品質の医療機器が広く世界で使われ、各国国民の福祉の向上に役立てればと願っています。最後に、ご支援ご指導いただいている日本消化器内視鏡学会・田尻久雄理事長、日本内視鏡外科学会・渡邊昌彦理事長、ならびにこれらの活動にご協力くださっている皆様に心から感謝申し上げます。

大分大学長
北野 正剛

北野 正剛 近影

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