一般のみなさまへ

健康情報誌「消化器のひろば」No.20-8

消化器どうしました?Q&Aこのコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 胆のうポリープは手術が必要ですか?

図

 ポリープというのは正確には病名ではなく皮膚・粘膜などの面から突出し隆起した腫瘤の総称です。丸くて出っ張っている球状のものを「ポリープ」と呼んでおり、これが胆のうにできたものが胆のうポリープです。胆のうポリープはほとんど症状がなく、健康診断や人間ドックなどで行う腹部超音波検査で偶然に発見されています。

 胆のうポリープの多くは、コレステロールポリープという良性のものです。コレステロールポリープのほかには、過形成ポリープなどの良性のものから、腺腫などのがんの前段階のポリープや、がんも胆のうポリープに含まれます。このように多くは良性のポリープのため、すべてで手術が必要なわけではありません。数多く発見される胆のうポリープの中から、手術が必要な症例を区別すること(鑑別診断)が大切です。胆のうポリープにおいて、鑑別診断に重要なのは「大きさ」と「形態(ポリープの形)」です。「大きさ」は10mm を超える胆のうポリープは悪性の可能性があることが知られています。ただ「大きさ」だけでは確実に診断できるわけではありません。「形態」も重要となってきます。

 胆のうのポリープは大きく分けて茎があって腫瘤が先端にある有茎性と、茎を持たない無茎性があります(図)。また有茎性と無茎性の中間の形態である亜有茎性、隆起の高さはないが、低い隆起が広がっている表面型として分類する場合もあります。有茎性は良性のことが多く、無茎性では悪性の可能性があります。ですからたとえ大きくても有茎性の場合は良性であることもありますし、小さくても無茎性の場合は悪性の可能性があります。このように「大きさ」と「形態」によって判断し、悪性の可能性があればさらに精密検査を行っています。


<回答者>

手稲渓仁会病院消化器病センター
センター長

潟沼 朗生

手稲渓仁会病院消化器病センター センター長 潟沼 朗生近影
Share on  Facebook   Xエックス   LINE