NAFLD/NASH

患者さんとご家族のためのガイド

NAFLD/NASHガイドQ&ANAFLD/NASHについてお話しします。

Q1 NAFLDやNASHってどんな病気ですか?

肝臓に脂肪が多くたまった状態が脂肪肝です。脂肪肝には、お酒を飲み過ぎた人がなるアルコール性の脂肪肝と、お酒をあまり飲んでいないのに肝臓に脂肪がたまってしまう非アルコール性の脂肪肝があります。お酒の飲み過ぎは脂肪肝にとどまらず、肝炎や肝硬変になることがよく知られていますが、お酒をあまり飲んでいない非アルコール性の脂肪肝の人でも同じように肝臓の病気が進行してしまうことがあります。
このように非アルコール性の脂肪肝から脂肪肝炎や肝硬変に進行した状態までを含む一連の肝臓病のことを「非アルコール性脂肪性肝疾患」(英語表記nonalcoholic fatty liver diseaseから「NAFLD(ナッフルディー)」)といいます。
つまり、NAFLDはアルコールを除くいろいろな原因で起こる脂肪肝の総称です。その多くは、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を伴っていて、メタボリックシンドローム*1の肝臓病と考えられています。

*1メタボリックシンドローム:内臓脂肪型肥満をもとに、高血糖、高血圧や脂質異常が重なることで動脈硬化が進行しやすくなり、心筋梗塞などの心血管疾患や脳卒中の発症リスクが高くなる状態です。日本では、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性で85cm、女性で90cmを超え、高血圧・高血糖・脂質異常の3つのうち2つ以上が当てはまる場合にメタボリックシンドロームと診断されます。

“非アルコール性”とはいえ、一滴もお酒を飲まない人だけではなく、少量の飲酒をしている人にみられる脂肪肝もNAFLDに含まれます。1日あたり純エタノールとして男性で30g以上、女性では20g以上のお酒を毎日飲み続けるとアルコール性肝障害を起こすことがあるといわれており、これはビールならば男性で1日あたり750mL(大瓶1本強)、日本酒なら1合半、ワインはグラス2杯半、ウイスキーではダブルで1杯半に相当します。つまり、これよりも1日の飲酒量が少ない人(女性ではその2/3よりも少ない人)にみられる脂肪肝がNAFLDということになります。

NAFLDのうち80~90%は長い経過をみても脂肪肝のままで、病気はほとんど進行しません。これをNAFLDの病気を意味する「D(Disease)」を除いてNAFL(ナッフル)といいます。しかし、残りの10~20%の人は徐々に悪化して、肝硬変に進行したり、なかには肝がんを発症したりすることもあります。
この脂肪肝から徐々に進行する肝臓病のことを「非アルコール性脂肪肝炎」(英語表記nonalcoholic steato-hepatitisから「NASH(ナッシュ)」といいます。
NAFLDは、非アルコール性で超音波検査やCT検査などの画像検査で脂肪肝の所見があって、他の肝臓の病気がないことを確認すれば、診断することができます。一方、NASHは肝臓の組織を調べる肝生検*2をしないと確実に診断することができません。

*2肝生検:肝臓の一部(1×16mm前後)を針で採取して顕微鏡で観察する検査。

Q2 NAFLD/NASHの患者さんはどれくらいいるのですか?

NAFLDの有病率*3は、日本では9~30%と報告されており、患者さんは全国で1,000万人以上いると考えられています。肥満の人やメタボリックシンドロームの患者さんの増加に伴って患者数は増えており、とくに肥満男性の増加が社会問題となるなかでNAFLDの男性も増えていることが懸念されています。また、日本におけるNAFLDの年齢分布は、男性は中年層、女性は高齢層に多い傾向であることが報告されています。
NASHの有病率は3~5%と推定されています。全国の肝硬変患者さん約33,000人の原因を調査した報告では、約3/4はウイルス性肝炎が原因で、NASHは2.1%でした。NASHの年齢分布については明確なデータはありません。
小児のNAFLDの有病率は少なくとも3%と報告されていますが、年齢の上昇とともにNAFLDの有病率は上昇します。小児のNASHの有病率ついては明確なデータはありません。
メタボリックシンドロームがあるとNAFLDやNASHを発症しやすく、とくに肥満(ウエスト周囲径の増大)はNAFLDやNASHの強い危険因子であり、また高血糖や脂質異常も主要な危険因子です。NAFLDの人がメタボリックシンドロームを合併している場合は、NAFLではなくNASHの可能性が高くなります。

*3有病率:ある一時点での調査全体数に占める疾病の割合

Q3 NAFLD/NASHになるとどんな症状があるのでしょうか?

肝臓はよく“沈黙の臓器”といわれるように、多少の負担がかかってもすぐには症状があらわれません。ですから、脂肪肝では自覚症状は何もない人がほとんどです。なかにはだるさを訴える人もいますが、肝臓に特有の症状というわけではありません。
たとえNASHになっていても、かなり病気が進行しない限りほとんど症状はないので、自覚症状だけで単なる脂肪肝(NAFL)とNASHを区別することはできません。
NASHが肝硬変に進行すると、黄疸や足のむくみ、腹水がたまることによる腹部の膨満感(お腹が張った感じ)などがあらわれることがあります。

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