胆管がんは胆汁の流れる管にできるがんで、黄疸を発症することが多いです。手術がもっとも有効な治療法ですが、近年、手術治療の向上と遺伝子異常別の新しい薬が登場し、治療成績が良くなっているがんの一つです。
胆管がんとは、胆汁が流れる管にできた「がん」を指します(図)。多く方には馴染みのないがんかもしれませんが、実は日本では6番目に死亡者が多く、年間約1万人が亡くなっています。
胆汁は肝臓で作られますが、胆管はそれを集めて肝臓の外に出し、膵臓の中を通って十二指腸乳頭から十二指腸の中に胆汁を流しています。肝臓の中の胆管にできたがんを肝内胆管がん、肝臓の外でできたがんを肝外胆管がん、十二指腸乳頭にできたがんを十二指腸乳頭部がんと呼びます。肝外胆管がんは、肝臓の近くにできる肝門部胆管がんと膵臓の近くにできる遠位胆管がんの2つに分けられます。
胆管は太さが数mm〜1cm程度の細い管ですので、小さながんであってもこれが詰まることにより黄疸(胆汁が血液中に逆流して皮膚が黄色になること)を発症することが多いです。
手術できる胆管がんは、手術による切除が最も治療効果が良いことがわかっています。肝臓の中や近くにできた胆管がんには、肝臓の一部とともに胆管を切除する手術(肝切除+胆管切除術)が行われ、膵臓の近くの胆管がんや十二指腸乳頭部がんは、膵臓・十二指腸と一緒に胆管を取る手術(膵頭十二指腸切除術)が行われます。どちらも、肝臓や膵臓という実質臓器を取る手術になりますので難しい手術になります。
手術ができない患者さんに対しては、最初に黄疸を治す治療が行われます。胆汁をせき止めているがんを貫くようにプラスチックや金属製のチューブを挿入し、胆汁が十二指腸に流れるようにする内視鏡的胆道ドレナージ術が行われます。黄疸が治り肝機能が良くなれば、通常は抗がん剤治療が行われます。今は2種類あるいは3種類の抗がん剤を組み合わせる治療が主流です。
最近の医学の発展により、個々のがんの遺伝子変異がわかるようになってきました。FGFR2遺伝子に異常がある胆管がんは、これに合った分子標的薬の効果があることが判明しています。今後も新規薬剤・新規治療法が登場することが予想されています。
この胆管がんの診断と治療は難しいため、専門の施設で行うのがおすすめです。日本消化器病学会、日本胆道学会、日本肝胆膵外科学会のホームページで調べることで専門の施設がわかりますので参考にしてください。