一般のみなさまへ

健康情報誌「消化器のひろば」No.19-6

消化器どうしました?Q&Aこのコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 肥満手術とは何ですか?

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 肥満“症”とは体格指数 [Body Mass Index:BMI=体重(kg)/身長(m)2] が25kg/m2以上の状態で、肥満に伴う健康障害を併発し医学的に減量を必要とする状態を指します。肥満に伴う健康障害とは、糖尿病や脂質異常症、高血圧症、変形性膝関節症や睡眠時無呼吸症候群、心不全や脂肪肝など多岐にわたります。特にBMIが35kg/m2以上の状態を肥満3度といい高度もしくは病的肥満症としています。

 病的肥満症に対する減量は、食事療法や運動療法などの内科的な治療法では長期的にはほとんどリバウンドしてしまうことがわかっています。病的肥満症に対しては胃の切除を行って摂取食事量を制限する手術が長期的な効果が認められた唯一の治療法であるとされています。このように体重減少を目的として、胃の切除を伴い摂食量を制限したり小腸をバイパスして消化吸収を抑制したりする手術を「減量手術(肥満手術)」と呼びます(図)。我が国ではこれまで病的肥満症の患者さんが少なかったためそれほど普及していませんでしたが、最近では糖尿病に対する外科的な治療として注目を集めています。多くの糖尿病治療薬やインスリンを使用している患者さんでも手術後には全く薬を投与しなくても血糖が正常化する症例が多く見られます。そのため、現在では「減量・代謝改善手術」と呼ばれることになりました。我が国では肥満は少ないものの糖尿病は非常に多く、しかも低いBMIでも糖尿病が重症化しやすいことがわかっており、今後この手術が肥満を伴った糖尿病の新しい治療法として普及していくと思われます。

図


 

<回答者>

北里大学医学部下部消化管外科学
主任教授

内藤 剛

北里大学医学部下部消化管外科学 主任教授 内藤 剛近影
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