脂肪肝とは肝細胞に脂肪が溜まった状態で、主な原因は、肥満や過度の飲酒です。放置すると肝硬変や肝がんに進行することがあります。肥満の人は食事量を減らし、運動をして適正体重を目指してください。飲酒量は、純アルコール量20~25g/ 1日以下として生活習慣を是正しましょう。
現在、健康診断で指摘される異常値の第1位は脂肪肝による肝障害です。脂肪肝は日本人成人の4人に1人が罹患している国民病で、主な原因は肥満や過度の飲酒です。肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、病気が進行するまで無症状です。早期診断による生活習慣の是正で脂肪肝は完治しますので、症状がなくても放置しないことが大切です。
肥満度はbody mass index(BMI)で表します。計算式は、BMI=体重kg÷(身長m×身長m)で、体重70kg、身長160cm の人では、70kg÷(1.6m×1.6m)= 27.3となります。BMI18.5未満は低体重、18.5以上~25未満は普通体重、25以上は肥満です。しかし、BMIでは筋肉と脂肪の区別ができません。腹囲を測定して、男性85cm、女性90cm以上は内臓脂肪型肥満となりますのでこちらも参考にしてください。また、高齢者では、筋肉量の少ない肥満(サルコペニア肥満)もありますので注意が必要です。BMI22前後の適正体重にするためには、食事・運動療法が基本です。1日の摂取カロリーは、理想体重×身体活動量(25~35kcal/kg)で計算します。一般の事務職であれば30kcal/kgで十分ですので、60kgであれば、30kcal×60kg=1,800kcalとなります。脂肪分の多い食品、間食、お菓子、寝る前の飲食を控えることが大切です。肥満の人は1ヵ月2kgペースで痩せることが推奨されています。体脂肪1kgを燃焼するためには約7,200kcalを消費しなくてはいけません。1日にすると摂取カロリーを約450~500kcal減らす必要があり、大変な努力を要します。このため、肥満予防が重要で、国をあげた食育の必要性が叫ばれています。運動は、散歩などご自身の体力にあわせて1日20~30分継続してください。また、糖尿病や脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の高い人)も脂肪肝の原因となります。肥満治療とともに医師の指示に従って、病気を治療してください。そして脂肪肝は、肝臓病だけでなく心筋梗塞や脳梗塞の原因にもなります。脂肪肝の治療は健康の基本です。特効薬はなく、ご自身で治す病気です。
飲酒に関しては、肝障害を来さない飲酒量は、純アルコール換算で20~30g/1日以下です(図)。純アルコールは、アルコールの量(mL)×アルコール濃度(度数/100)×アルコール比重(0.8)で算出されます。個人差はありますが日本酒3~5合/1日×5~10年でアルコール性肝硬変に進行します。また、過度の飲酒は動脈硬化、高血圧、発がんのリスクも高めます。飲酒の適正量を守ってください。