このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。
Q. ロボット手術とはどのようなものですか?
ロボット手術とは、手術支援ロボットを用いた内視鏡手術のことをいいます。体の表面の小さな傷からトロッカーという筒を挿入し、その筒を通してさらにビデオカメラや手術器具を挿入し手術を行うものを内視鏡手術といい、現在広く行われるようになっています。
従来の内視鏡手術は手術器具を直接執刀医が手に持って操作しますが、ロボット手術では機械に取り付けた手術器具を別の操作台から操り、手術を行います。従来の内視鏡手術では手術器具が直線的なものがほとんどで、直接操作する執刀医の手振れを防ぐにも限界がありました。しかしロボット手術では、操作するのは執刀医ですが直接体内に触れるのは機械であるため、手振れがほとんどなく、人間の手のように関節機能がある手術器具を用いることが可能です。
現在主流となっている手術支援ロボットは米国Intuitive Surgical社のda Vinci Surgical Systemで、2000年頃より登場し、我が国では2018年現在約300台が導入されています。まだまだ歴史が浅い手術器具であり、そのメリットは確立されていない部分もありますが、日本ではこれまでの前立腺がん手術や腎がん手術に加えて2018年4月に食道、胃、直腸など12術式が新たに保険適用となりました。また国産のものを含め新しい手術支援ロボットの開発は急速に進んでおり、今後ますます発展する領域であると思われます。