一般のみなさまへ

健康情報誌「消化器のひろば」No.23-6

消化器どうしました?Q&Aこのコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 検診の超音波で膵尾部の描出が不良といわれましたが、どうしたらいいですか。

図

 膵臓はみぞおちの少し下の背中側にある細長い臓器で、胃、大腸、小腸(十二指腸)、肝臓、脾臓(ひぞう)に囲まれています。そのため、太っている方、便秘や消化管のガスが多い方は超音波による描出が困難となることが多く、特に十二指腸周囲の膵頭部と膵尾部が描出しづらい部位とされています。超音波検診では受診者の1%程度に膵臓が全く描出できないとの報告があり、最近では半座位、座位、左右側臥位といった体位変換を推奨しています。さらに専門施設では、通常の超音波を施行した後ミルクティーやお茶などを飲んでいただき、膵尾部の描出を改善させる胃充満法(飲水法)を行っています(図)

 『腹部超音波検診判定マニュアル改訂版』(2021年)では、① 5mm以上の嚢胞(液体の溜まった腫瘤)と② 3mm以上の主膵管拡張を膵がんの高危険群と判定し、これらの所見を認める方には精密検査と定期的な経過観察を推奨しています。

 膵尾部の描出が不良といわれた場合、膵頭体部に高危険群を示唆する所見などを認める方は専門施設で精密検査を受けてください。超音波内視鏡、造影CT、MRIなどで膵尾部に腫瘍性病変が存在しないか評価する必要があります。高危険群を示唆する所見を認めなくても、検診結果で尿糖陽性や血糖上昇など糖尿病の傾向を認める、腫瘍マーカーが上昇している、上腹部に違和感があるといった方も、専門施設で超音波の再検(胃充満法)あるいはほかの画像検査を受けていただくことをお勧めします。

図 胃充満法


 

<回答者>

飯田市立病院 診療技幹
内視鏡センター長

岡庭 信司

飯田市立病院 診療技幹 内視鏡センター長 岡庭 信司 近影
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