一般のみなさまへ

健康情報誌「消化器のひろば」No.24-7

消化器どうしました?Q&Aこのコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 慢性膵炎の食事と薬物療法はどうしたら良いですか?

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 慢性膵炎の治療は、お酒の飲みすぎをはじめとする成因を踏まえ、病気の時期を考えながら行います。

 すなわち、急性膵炎の発作やおなかや背中の痛みを繰り返すものの、膵臓の働きは保たれている“代償期”と呼ばれる時期と、病気が進行し、痛みは軽くなってくるものの膵臓の働きが弱り、脂肪便やおなかの張り、悪臭を伴うおならや便などの消化吸収不良症状や糖尿病などがおきてくる“非代償期”と、各々に応じてお薬や食事の注意点が変わってきます。 

 代償期で痛みや急性膵炎発作がある時期には、膵臓を刺激する脂質の摂取を控え、膵臓の炎症を抑える蛋白分解酵素阻害薬のカモスタットメシル酸塩や痛み止めを使用します。一方、非代償期になったら1日あたり40~70gと脂質を制限せず、健康な人と同程度のカロリー、蛋白質を摂取します。そのままでは十分に消化ができないため、膵臓の消化酵素の代わりとなる高力価膵消化酵素薬・パンクレリパーゼを食後すぐに十分量内服することが必要です。時間をかけて食事をされる方は食事の直前や食事中、食直後と分けて内服したり、また間食をとるときにも内服するなどの工夫も良いかもしれません。

 慢性膵炎の患者さんは、とかく脂質が膵臓に悪いと思い、非代償期になっても脂質制限を続けている方がおられます。脂質を含む栄養をしっかり摂取し、栄養状態や筋肉量、骨密度などを正常に保つことが、生活の質を保つうえでも大切です。ぜひ主治医の先生に、ご自身の慢性膵炎がどのような時期にあたるかを聞いてみてください。

 なお、飲酒や喫煙を続けると慢性膵炎が進行することも知られており、心当たりのある方は生活習慣の改善にも努めましょう。


 

<回答者>

東北大学大学院 医学系研究科・医学部
消化器病態学分野 教授

正宗 淳

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