痛み止めの副作用
腰痛や頭痛のときに飲むような痛み止めは、よく胃を荒らします。ときには胃潰瘍を作って出血し、命に関わることもあります。特に過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍の経験がある方や痛み止めを長期に飲まれる方は注意が必要です。主治医と相談のうえで、胃薬を併用してください。
痛み止めの種類はいろいろ
足腰の痛みを止めるお薬、がんなどによる痛みを止めるお薬、おなかの痛みを止めるお薬などいろいろな目的で使用されるお薬があり、一概に痛み止めと言ってもひとまとめにはできません。
まず、おなかの痛みは、その病気によって痛みが発生する場所もメカニズムも異なり、おのずと使用するお薬も様々なものになります。後で説明するいわゆる痛み止めは基本使用しません。また、がんによる痛みの軽減には、強い痛みの場合、麻薬などに類似したお薬を使用することが一般的です。
ここでご説明するのは、足腰の痛み、頭痛、生理痛などによく使われるロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン®)やセレコキシブ(セレコックス®)、ジクロフェナックナトリウム(ボルタレン®)などの非ステロイド系抗炎症剤と呼ばれる種類のお薬のことです。
痛み止めの副作用は?
これらの痛み止めを飲むと胃が荒れるとよく言われます。これらのお薬は胃の粘液を減らし、血流を悪くし、胃粘膜の防御力や働きを悪くし、その結果、胃粘膜が胃酸に侵されて胃が荒れてしまうのです。軽い場合は胃の調子が悪くなったり、食欲がなくなったり、胃が痛んだりといった症状だけが出ます。しかしひどい場合は、胃や十二指腸の粘膜が傷つき、胃潰瘍・十二指腸潰瘍になって、そこから出血したりします。
高齢の方であれば、命に関わる状態になることもしばしばあります。特に過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがある方、これまでにもよく胃の調子が悪くなりやすい方、頓服ではなく続けて飲む方は、要注意です。
予防法は?
予防法は、胃の粘膜を守るお薬を併用することです。大きく分けて2種類の胃薬があります。胃酸を抑えるお薬(H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬)と胃粘膜保護薬(胃粘膜防御因子増強薬、プロスタグランジン製剤)です。
基本的には、痛み止めを処方される医師に相談するのが一番良い方法ですが、特に過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍の経験のある患者さんは、必ず、処方される医師にそのことを伝えてください。頻度は低いですがそれ以外の副作用もありますので、特にほかの病気をお持ちの方は、主治医とご相談ください。