このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。
Q. バイオシミラーって何ですか?
近年、医薬品の費用の増大が問題となってきており、特許が切れた医薬品についてジェネリック医薬品の使用が推進されています。構造が単純で化学的に合成可能な医薬品は先発品と同一なものを製造でき、これがジェネリック医薬品となります。一方、生物が産生する蛋白質などを医薬品として利用する生物学的製剤(バイオ製剤)は、多数の原子からなる巨大分子であり構造が複雑なため、完全に同一なものを製造することは困難です。そこで、物理的化学的特性や生物学的特性などの品質を分析して先発品と同じ性質を持つ、と確認された後発バイオ製剤がバイオシミラーとなります(図)。実用的には先発品とほぼ同じものですが、細かい部分の構造は完全に同一ではないので、似ているという意味で「シミラー」と呼ばれています。
ジェネリック医薬品は薬効成分は同一ですが、先発品と効き方が同じことを確認する臨床試験までは行っていません。そのため開発にかかる費用を抑えることができますが、本当に先発品と効果が同じかどうかが議論されています。これに対しバイオシミラーは単に品質が同等というだけでなく、臨床試験によって実際の効果にも違いがないことが確認されています。なおバイオ製剤は先発品でも完全に同一というわけではなく、製造ロット間で若干の相違があります。バイオシミラーは、厳密な管理が行われているために先発品と同等の効果があり、選択肢の一つになると言えます。