このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。
Q. 抗血栓薬を服用しているときの注意点を教えてください。
抗血栓薬には血小板機能を抑える抗血小板薬と凝固機能を抑える抗凝固薬があります。一般的に心筋梗塞や狭心症などの動脈の血栓症には血小板が関与していることが多く、抗血小板薬を使用します。抗凝固薬は不整脈の心房細動による塞栓症(脳梗塞など)、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)の治療のときに使用します。これら抗血栓薬を服用しているときに内視鏡の治療や手術を行うと、出血の危険性が高くなる場合があるので注意が必要です。
このような場合は、1)手術または処置がどの程度出血の危険性のあるものなのか、2)抗血栓薬は何の病気で何のために服用しているのか、3)抗血栓薬を中止しても問題はないか、4)中止するのであればいつから中止していつから開始するのか、を先生に確認することが重要です。
処置や手術による出血の危険性が少ないと判断される場合は抗血栓薬の中止は不要です。出血の危険性が多い場合は抗血栓薬を中止しなくてはいけません。しかし、病気によっては中止により血栓症のリスクが高くなる場合があります。たとえば、心臓の血管の拡張術後や脳卒中発症後間もないときなどです。そのようなときはヘパリンという抗凝固薬を使用して処置直前まで血栓をできにくくする処置を行います。
大切なことは、自分が服用している抗血栓薬の目的と中止による血栓症発症の危険性、処置・手術による出血の危険性を理解したうえで先生とよく相談して決めることです。