このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。
Q. 胆のうの壁が厚くなっていると言われました。どうすればいいですか?
胆のうの壁が厚くなる病気として最も多いのは、胆のう腺筋腫症です。何らかの原因によって、胆のうの壁にロキタンスキー・アショフ洞(RAS)という小さなくぼみ(空洞)が複数できて、その周りを筋肉や線維成分が取り囲んで胆のうの壁が厚くなります。空洞の中に胆汁などの水分がたまり、胆のうの壁の中に微小な結石ができることもあります。胆のう腺筋腫症は、壁が厚くなる部分によって底部限局型、分節型、びまん型に分類されます(図)。分節型では、胆のうにくびれができるので、くびれの底部側に胆汁がうっ滞して胆石ができることがあります。
胆のう腺筋腫症はほとんどが無症状です。このため、健診の腹部超音波(エコー)検査などで偶然発見されることが多いですが、胆石を合併したり、胆のう炎を併発すると腹痛や腹部の違和感などの症状が出ることもあります。痛みが強い場合には胆のう摘出手術を行うことがあります。
胆のう腺筋腫症は良性の病気ですが、同じように胆のうの壁が厚くなる病気に胆のうがんがあります。胆のうがんとの識別が難しい場合には、MRIやCT、超音波内視鏡(EUS)などの精密検査を行います。胆のう腺筋腫症から胆のうがんが発生しやすいという関連性はありません。しかし、まれにがんを併発することも報告されていますので、症状がなくても年1回の腹部超音波検査を行うことをおすすめします。