一般のみなさまへ

健康情報誌「消化器のひろば」No.24-6

消化器どうしました?Q&Aこのコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 鼠径ヘルニアは手術したほうが良いのでしょうか?

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 鼠径ヘルニアとは鼠径部(太腿の付け根の辺り)で、腹壁の筋膜が弱くなって、本来ならおなかの中にあるはずの組織が筋肉の隙間から飛び出してしまい、鼠径部が出っ張ってしまう病気で、脱腸とも呼ばれます。見た目の問題もさることながら、放置すると腹壁の弱くなった部位に腸や脂肪、膀胱などの腹腔内の臓器が挟まりこんで抜けなくなってしまうことがあります。そういった場合には緊急手術が必要となり、場合によっては腸切除が必要となることもあるため、鼠径ヘルニアという病気は手術を検討したほうが良いでしょう。

 鼠径ヘルニアを治す方法は手術しかなく、自然に治ることはありません。また、手術を安全に行うためには、いつ手術するのかが大事になってきます。

 安全性という点においては、状態が落ち着いている時期に待機的に鼠径ヘルニア手術を行う場合と、嵌頓したためにやむなく緊急で手術を行った場合では、術後合併症の発生率は明らかに緊急手術で多く、危険度が高いと報告されており、手術をするのであれば計画的にすべきです。また長年患っており、今まで大きな症状がないので様子を見たいと考える方もいらっしゃいますが、そのようなケースにおいても大半は症状が悪化し、結局は手術を受けることになることが多いようですし、放置するとヘルニアは大きくなるため、早めの手術をおすすめします。

 手術は多くの場合はメッシュという人工のシートを使って、弱った腹壁を補強する手術が一般的です。最近の鼠径ヘルニアの手術は傷も小さく、痛みも少なく行うことができ、社会復帰も早いです。また、どのタイミングで手術をすべきかについては、ヘルニアの状態や全身状態なども考慮し、担当の先生とよく相談して進めていくことが重要です。


 

<回答者>

八尾市立病院 外科 部長
吉岡 慎一

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