オクトレオスキャン®は、ラジオアイソトープといわれる放射性医薬品を用いて行う画像検査方法です。オクトレオスキャン®で使用される医薬品は、インジウムという放射性物質とペンテトレオチドというペプチド(結合したアミノ酸)が結合した合成化合物です。
インジウムは、γ(ガンマ)線といわれる放射線を出し、これを特殊なカメラ(γカメラ)で撮影することで、体内のインジウムの集積している部位を可視化し、部位の特定ができます。一方のペンテトレオチドは、体内にあるソマトスタチン受容体に特異的に結合するアミノ酸です。検査薬を投与すると、体内のソマトスタチン受容体のある細胞のみを画像検査で検出することが可能となります。
ソマトスタチン受容体は、体内では下垂体や膵臓、リンパ球に発現していることが知られています。一般的には正常な細胞での発現はわずかですが、神経内分泌腫瘍といわれる悪性腫瘍に高率に発現していることが知られています。そのため、オクトレオスキャン®は神経内分泌腫瘍のための検査方法といえます。
検査方法は、検査薬を静脈内へ注射として投与します。一般的には、投与4~ 6時間後に1回目の撮影を行い、24時間後に2回目の撮影を行います。複数回撮影し、全身での集積の変化を確認することで、腫瘍の部位を特定する信頼度が上がります(図1、2)。
この検査は、全身をくまなくチェックすることができます。したがって、神経内分泌腫瘍が疑われる症例で全身への広がりを診断する段階で大変有用です。
また、放射線を体内に投与する放射線治療(放射線内用療法)の前に実施し、その治療の適応や治療効果を予測するためにも用いられます。診断のためのγ線を放出するラジオアイソトープ(インジウム)を治療のためのβ(ベータ)線を放出するラジオアイソトープ(ルテチウム)に置き換えることで、診断で集積が高いほど、治療薬の集積も高いことが予想され、高い治療効果が期待できます。このように、放射性物質を介して、診断と治療との融合が期待できる診療体系はラジオアイソトープ(RI)セラノスティクと呼ばれており、最近では大変注目されています。