一般のみなさまへ

健康情報誌「消化器のひろば」No.25-6

消化器どうしました?Q&Aこのコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 硬化性胆管炎について教えてください

図

 硬化性胆管炎では、胆管の慢性炎症により胆管壁が肥厚して内腔が狭くなる(狭窄)ため、胆汁流出障害による肝障害(胆汁うっ滞性肝障害)が生じます。皮膚のかゆみや、胆管炎(発熱、腹痛)や黄疸(皮膚などが黄色くなること)、進行した場合は肝硬変の症状(倦怠感、腹水、黄疸、食道静脈瘤など)が出現します。血液検査による肝胆道系酵素異常や腹部超音波検査・MRCP(MRI検査)・CT検査などによる肝内胆管の拡張などで見つかることが多いです。IgG4関連硬化性胆管炎などの炎症の原因が明らかな二次性硬化性胆管炎と原因不明の原発性硬化性胆管炎(PSC)があります。

 PSCではに示すように特徴的な胆管像を示し、総胆管はやや不整で、肝内胆管には短い輪状狭窄が多発し、引き続く拡張とあわせて数珠状となり、末梢胆管は全体に拡張します。潰瘍性大腸炎の合併が多いことから腸内細菌叢の異常により、菌と関連のある何らかの毒物が門脈という血管を介した肝臓へ流入することによる肝障害が想定されていますが、今のところ根治療法はありません。慢性肝障害により肝臓が線維化して硬くなって肝硬変となり、肝不全に至った場合には、肝移植が行われることがあります。現在ではウルソデオキシコール酸、ベザフィブラートの内服と胆管狭窄部をバイパスする内視鏡的ステント留置術などにより、肝障害の進行を遅くする治療が行われています。

図


 

<回答者>

順天堂大学大学院 医学研究科
消化器内科学教授

伊佐山 浩通

Share on  Facebook   Xエックス   LINE