このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。
Q. 好酸球性食道炎とは?
好酸球性食道炎は、好酸球というアレルギー反応に関与する白血球が食道に過剰に集まって慢性的な炎症を生じる病気です。好酸球による炎症が胃や腸に生じる好酸球性胃腸炎とともに指定難病に含まれています。
これまで日本では稀な病気と考えられていましたが、最近、検診の内視鏡検査で見つかる頻度が増えており、内視鏡検査300例あたりに1例程度見つかると報告されています。
この病気の特徴として30~50歳代の男性に多く、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患のある人に起きやすいことがわかっていますが、病気の原因についてはまだ明らかになっていません。
この病気では、食事が通りにくい感じ、飲み込むのに時間がかかる、胸やけがするなどの症状が出ますが、検診で見つかる例では症状がなかったり、あってもごく軽度で、図に見られるような特徴的な内視鏡の所見から診断されることが多いです。
診断の確定のために内視鏡検査の際に食道から組織を採取(生検)して上皮内に好酸球が過剰に集まっていることを顕微鏡で確認します。治療として胃酸の分泌を抑制する薬(プロトンポンプ阻害薬)が用いられることが多く、内服によって約7割は改善します。改善がない場合はステロイド薬の局所投与や食事療法が行われます。
検診で内視鏡検査を受けた際に好酸球性食道炎の疑いがあると指摘された場合は、消化器内科の専門医を受診して適切な診断と治療を受けることをおすすめします。