このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。
Q. 膵のう胞だと言われました。どうすればいいですか?
膵のう胞とは、膵臓内に液体の成分を含んだ袋状のものを指します(図)。腹痛や吐き気がみられることがありますが、検診や人間ドックの腹部超音波(US)やCT検査で偶然発見される場合も少なくありません。原因は先天性のものから、膵臓の炎症や腫瘍によってできるものまで様々です。
膵のう胞が発見された際は、腫瘍によるものかどうか、そうであれば良性か悪性かをいろいろな検査を用いて診断し、治療が必要か経過観察で良いかの判断が求められます。膵のう胞の正確な診断には、各種血液検査、MRI検査とともに、超音波内視鏡(EUS)が有用です。EUS は先端に小型の超音波が付いた内視鏡で、のう胞の内部を詳細に観察することが可能で、外来で行うことができます。各種の検査にて、がんの発生が疑われる場合はさらに精密な検査を行い、その結果によって治療が必要となる場合があります。
一方、経過観察が可能と判断されても、がんや腫瘍との関連が疑われる場合は、患者さんの年齢やのう胞の形状に応じて定期的な検査を行う必要があります。具体的には、各種血液検査およびのう胞の場所や形の変化などを客観的かつ正確に判断する目的でUS、EUS、CT検査、MRI検査などを組み合わせて行います。検査の方法は、各施設の方針によって異なるため、受診される医療機関でご相談ください。膵のう胞と言われたら、無症状でも放置せず、医療機関で正確な診断を受けることが重要です。