一般のみなさまへ

健康情報誌「消化器のひろば」No.20-7

消化器どうしました?Q&Aこのコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 好酸球性胃腸症ってなんですか?

好酸球性胃腸症はアレルギーに関与する白血球の1つ、好酸球が胃や腸に病的に集まって炎症を引き起こす慢性アレルギー疾患です。アレルギーの原因(アレルゲン)は食物などが疑われていますが、実際はわからないことが多いです。好酸球性胃腸症は稀な病気ですが、診断困難例や治療抵抗例が存在することから難病に指定されています。

症状は、腹痛、嘔吐、食欲不振、下痢、体重減少、腹部膨満感など様々です。診断には内視鏡検査が必要で、特異的な所見はありませんが、発赤、浮腫、びらん、潰瘍、結節などがみられ、生検で著明な好酸球浸潤(図)がみられます。CTでは腸管浮腫による壁肥厚や腹水が認められることがあり、腹水中の好酸球も増加しています。アレルギー疾患を合併することが多く、血液中の好酸球増多、貧血、低アルブミン血症を認めることがあります。

治療は食物アレルゲンが判明すれば、除去食が有効ですが、通常困難な場合が多いです。重症例の急性期や難治例では寛解導入目的に全身性ステロイド投与が行われ、おおむね著効します。抗アレルギー薬、特にロイコトリエン受容体拮抗薬が軽症例で有効とされています。ステロイド抵抗例や再発を繰り返す症例では新規薬剤の開発が望まれ、現在国内外で治験が進んでいます。

基本的に悪性疾患ではないので生命に関わる病気ではないですが、再発を繰り返す場合もあり、じっくり病気と向き合うことが重要です。

図


 

<回答者>

大阪市立大学大学院医学研究科
消化器内科学 教授

藤原 靖弘

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